2010年03月08日の記事 (1/1)

インターネットとデジタルカメラ

昨今のニュースショーは、JRのダイヤ改正に伴う動きに乗じた鉄道ファンの生態みたいな特集を頻繁に流している。3月12日に大幅な改正があり廃止になる路線も多いそうで、それを悲しむ鉄道ファンが殺到しているとのこと。

ところで、ぼくの友人の熱狂的な鉄チャンによると、鉄道ファンには「乗り鉄」と「撮り鉄」の二種類があるらしく、友人はもっぱら「乗り鉄」なんだけど(例えば彼と新潟でその日の夜に食事の約束をすると、ぼくというか普通の人は夕方に東京から新幹線で新潟まで行くけど、彼は朝からいろいろと在来線を乗り継いで何回も乗り換え、まる1日かけて新潟まで行く、といった具合)、その日の特集では「撮り鉄」を取り上げていた。

廃線を迎えた鉄道や車両の路線駅にて待ち構え、列車が入ってくるところを撮影する集団だ。

もちろん「撮り鉄」たちの顔とかはテレビに映されないが、見ていて彼らの行動は凶器の沙汰だった。目的の列車が到着するたび、安全な運行のために仕事をしている駅員に対し、「どけー」「じゃまだー」「写真にかぶるぞ! しゃがんで仕事しろー」とかの怒号を浴びせているのだ。

果たして彼らは本当に鉄道「ファン」、つまり鉄道を愛している人たちなのかなあ。
色温度や絞りの調整がマストである熟練したプロの領域だったポジフィルムから、デジタルカメラなる、すべての人をとりあえず上手に写真がとれた気にさせる魔法の機械の登場。そして、パソコン上で簡単にできる写真加工という自己完結(オタク)には最適なツール。それを駆使したいがための、単なる被写体として選ばれたものが列車だっただけ、ではないだろうか。

また、鉄子と呼ばれる女性の鉄道ファンについても別番組で報じていた。女性一人ではなかなか鉄道が趣味と言いにくいが、インターネット上で鉄道好きをカミングアウトして(実際にインタビューされた人がそう言っていた。妙に違和感があったなあ)仲間を募り、みんなで写真を撮りに行ったりするそうだ。女性で鉄道好きというのが特異かどうかは別議論だが、たとえそうだとしても。、つるまないと行動できないものか。

また、インターネットという早くて便利ながら、砂の上に建ったような脆くあやういコミュニケーションについても、こんなところでも増殖してるだなあと感心しきり。


そして、それってまさに、ぼくが深くかかわっているグルメについても全く同じ現象なんだよね。

食事が運ばれてくるやいなや、回りへの配慮やマナーをわきまえることなくパチパチと撮影ばかりに執心(料理写真を全面否定するものではありません。誤解なさらず)。いっこうに食べ始めない人たち。インターネットで参加メンバーを募り、その店に行く目的のためだけに集まる仲間。

デジタルカメラの普及、インターネットの発達が、ヒトの余暇やコミュニケーションに深く関係してきた「趣味」を大きく変え、というか歪めつつある、とすると言い過ぎだろうか。

乗ることの楽しさ、食べることの悦び。それを純粋に分かち合える友。テクノロジーに頼ることなくもっと人間らしくありたい。