2010年05月の記事 (2/6)

ビクトリアパークの女性たち

さらに続く香港話。

ぼくたちが泊まったホテルは香港島側、銅鑼湾(コーズウェイベイ)というエリア。ファッション系のビルが立ち並び、裏通りに入るとオシャレなカフェや洋風のレストランなどもあってなかなか。若者が多く集まる場所で、東京で例えるなら渋谷といったところか。ただ前回も書いたように、香港の若者は皆さん素直で歳相応でピュアな感じなので、街並みが渋谷といっても歩いている人々はまったく渋谷とは様相が異なる。

ぼくが宿泊したホテルの前には、ビクトリアパークという大きな公園が広がっていて、ニューヨークのセントラルパークとまではいかないものの、ホテルの眼前に公園が広がるというのもまたいいものだ。

日曜日の午前、ぼくはビクトリアパークをいまだ訪れていないことに気づき、一度散歩でもしてみようかなと、ふらふらと公園のほうへと向かった。

最初はあまり気にならなかったが、しだいに公園が近づくにつれ不思議なことに気づいた。そして公園内を歩くうちにその不思議さは確信に変わった。おびただしい数の若い女の子で公園が溢れ、その数はますます増加していたのである。

最初は大学のサークルとか趣味の集まりかなあと、ぼんやり考えていたが、全て女性である理由がない。であれば、若い女性に人気の男性アイドル野外コンサートでもあるのかなあとか、そんな風にも考えた。
ただ、女性の中に、白人はもちろん黄色人種(中国人)もいない。全て、フィリピンやタイの出身かとおぼしき褐色の肌の皆さんばかりなのである。

ああ、これはもしかしたら宗教上の集会なんだろうかと、少し場違いな雰囲気も漂ってきたので、早々にホテルへと戻る。そのホテルに向かう道すがらも公園に集まる多数の女性とすれ違い、ホテル内でも、涼しい建物内を通路代わりに通る女性と肩が触れ合った。

凄い集まりだなあ・・・と、今更ながら未知のパワーに恐れおののき、ホテルのフロント係に、あの多数の若い女性集団は何ですか? と早速質問。すると実に明快な答えが返ってきた。

「彼女達は香港でメイドとして働く女性。多くはインドネシアやフィリピンからの出稼ぎです。香港にはメイドさんが20万人以上もいて、普段は住み込みで24時間労働なんだけど日曜日だけはお休み。かといって遊ぶお金もあまり持っていないので、こうして毎週日曜日にお弁当とかを持参して公園に集まり、ずっと一日中オシャベリを楽しんでるんです」とのこと。

なるほど・・・。
日本に戻って少し調べてみると、香港の富裕層ではメイドさんの雇用がマストの様子。高級マンションにはあらかじめメイドさんの部屋が用意されているのも普通だそう。結果、子育てはほとんどメイドさんの仕事となり、女性の社会進出を促進する一方で、託児所や保育所などの施設は全く発達せず、メイドさんを雇わないと子育ては困難を極めるのだそうだ。

でも、人種の差、宗教の差は未だ歴然とあり、問題は絶えないと綴る。