2010年08月04日の記事 (1/1)

右か左か

イベント屋を長くやっていて、いつも悩む、というか自分の物差しを持っていないとブレてしまうことがある。
社内のエライ人や来賓の席順・立ち位置を決めるとき、右側の方がエライのか、はたまた左側がよりVIPなのかという区別だ。

これは大変ややこしい。
おおざっはに言うと、日本古来では右側である。右に出るものはない、ということわざ通り、一番右がもっとも突出している。左大臣・右大臣というと左大臣の方がエライが、それは君主から見て右側は、君主を仰ぎ見る形での左側だから、という説もある。

いっぽう武士の世になってその位置は逆になる。刀は左側に差すので、右手で刀を抜いてそのまま切れる右側に位置するのが相手に忠誠を誓う気持ちの表れとして、左側の方が上と認識されたのである。

お雛様の場合も様々だ。よく関東と関西で異なると言われる。もともとお雛様は、お内裏様が向かって右側でお雛様は左側だった。ところが、昭和天皇が即位されたとき、立ち位置を西洋風に改め左右を逆にしたので、それにならって特に関東地方を中心にお内裏様とお雛様の並びが変わったそうだ。つまり、今の雛飾りは、昭和以降のトレンドで西洋風ということになる。

とまあ、ハッキリ言ってイベント屋としてはどっちでもいいのだ。ただ、現場の準備を遅らせないために、いつもそんな議論になった際には、どう思いますか?と、その場の決定権者に質してうまく回答を誘う。と、ほとんど全ての人は回答など持たないゆえ、「なんとなく右のような気がするなあ」とつぶやくものなら、そーですよね。右に出るものはいない、なんていいますからね。だって左側は左遷ですから。と合いの手をうち、その場で上座の議論を収束させてしまう。もちろん「左じゃないの」と言われた場合には、武士の例とか雛飾りの話を持ち出すことにしている。

さて、先日海老蔵と小林麻央の結婚披露宴を録画して興味深く見た。会場は、プリンスホテル系のザ・プリンスパークタワー東京。最近イメージが下がる一方のプリンスホテルが威信をかけてオープンしたフラッグシップで、やたらデカイ宴会場を並行して二つ備えている。もちろんぼくたちとっては「職場」でもある。

だた、ぼくの経験値的に言うと、残念ながら格式という点では東西の老舗系ホテルには及ばず、上記の披露宴のこどくホテルで式典をする際、どの位置が上座なのかといった認識がプリンス系のホテルマンには欠けている(いい意味で柔軟ともいえるけど)。たとえば、上座・下座について迷ったり、ホテル側の流儀とことなる運営をぼくがやろうとすると、ニューオータニや大阪のリーガロイヤルといったホテルなら、ホテルマンが走ってきて、「この立ち位置は違いますよ。なんなら私どもでご誘導をさせていただきます」とのアドバイスが返ってくる。

海老蔵披露宴に話を戻すと、開宴当初は、ホテル側の指示(というか、今の日本のホテルの慣習に従い)新郎の海老蔵が向かって左側、小林麻央は右に立って進行していた。上記でいう昭和天皇即位以来の並び順、いわゆる西洋風である。ところが披露宴の最後のお約束、両家が並んで挨拶をするシーンで、新郎と新婦の立ち位置が逆転していたのが、気になってしかたがなかった。

あれはなぜだったのだろう。成田屋の日本伝統文化へのこだわりか、それとも、ホテルの凡ミスか。