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リセッ臭

ぼくは、ある場所での取材の仕事を、ここ6年ぐらい毎年引き受けている。
それは、東京ビッグサイトという大きな展示会場で開催されるトレードショーに出展するメーカーからの依頼。
日本を代表する大手メーカーで、そのトレードショーでも最大のブースを出しているのだけど、
他社の展示やステージ、出展の傾向などを、写真ととも詳細にレポートしてくれ、という依頼である。

実際には違うが例えていうなら、東京モーターショーでトヨタから依頼を受け、ホンダや日産のブースの取材レポートを作成する、という仕事。まあレストラン取材は日常なので、傾向の違う取材もこなせるし新たな発見もあって楽しい。最初はその年だけかと思っていたら、毎年ご依頼をいただいてすでに6回目を迎えた。

大きな展示会ともなると、各社のブースそばに小さなそのメーカー専用のスペースが設けられ、控室や備品置き場、担当者の待機・休憩場所となる。加えて、展示ブースで説明をする開発や営業がお揃いのユニホームに着替える更衣室にもなるのだ。

ぼくの仕事は、東京ビッグサイト内のカフェでもオフィシャルな休憩所でも、ノートパソコン一台あればできるわけだが、クライアントは、ぼくが取材してきた内容を打ち込むためのスペースを、一応その控室内に提供いただいている。

ただ、その場所は毎年更衣室を兼ねており、ぼくの背中側には、おっさんが使用中の服が大量に吊られている。
もうお分かりだろう。その匂いたるや、夜の新幹線状態、つまり加齢臭の温床となるのだ。
その部屋は、着替えの時間以外は女子社員が来場データを集計したり、お客様からの名刺を整理したりと細かな作業をしており、そんな女性陣からも「臭い」とのクレームが出ていたらしい。

ぼくも人のことは言えない世代だけど、確かに臭い。しかも頻繁に洗濯をすることがない背広ばかりだから余計だろう。
ということなのか、今年はその更衣室に、大量のリセッシュが持ち込まれた。

ぼくは最初、それがリセッシュの匂いだと気づかず、設置してあるサーバー他の熱で発せられる特有の臭気なのかなあと不思議に感じていた。当初はおっさん臭が回避されていいやと思ったものの、正直、長期間その場に居続けると、おっさん臭を上回るぐらい鼻につく。清潔感のない化学的な合成臭。
人間から発せられる匂いの方がよっぽど耐えられる、まさに「リセッ臭」なのだ。しかもおっさんたちは、自分の臭気に自覚があるのか、気の利いたサービスだと思うのか、この時とばかりにスプレーし、その量たるや異常なほど。展示会終了間際になっても、加齢臭に上乗せした化学的合成臭の立ち去ることがない。
それはそれで「リセッ臭」は凄いなと思ったけど、もっといえば怖いなあとも。

もう当分あの臭気は避けたい。というより、時折りすれ違う人から発せられる匂いに、あ、今、リセッシュしてきたでしょと分かる自分がバカバカしい。