FOR RENT

街を知るのは歩くことから、と信じて、東京での生活では、今のところ一切クルマのオーナーとならず、徒歩と公共交通機関で過ごしている。歩くためのフットワークをより軽くするため住居も山の手線内を選んだ。一時自転車も乗ったのだが、たいてい飲酒運転になってしまうのと、都心の坂の多さに疲れ果て半ば中断状態である(こちらは復活させるつもり)。

特に日曜は、一つのエリアにテーマを絞って主たる幹線道路(ぼくにとっての幹線道路はレストラン密集地帯)を歩く。昨日のように、気温は低いが穏かな日差しがうれしい午後は、早足で歩くとポカポカと温かくなってくる格好の散歩日和。

昨日歩いてみたのは、恵比寿から明治通りを越えて六本木通りに至る駒沢通り。

この道は、恵比寿側から上ると「Roy's」に始まって「NOBU」で終わる、みたいな印象だったが、親会社の倒産もあっていずれの店も今の場所にはない。とは、すでに数年前のこと。それ以外でも、アパレルの「パパス」がこの通りを重点的に自分たちの多角経営のパイロット通りにしようと画策した時期もあるような気がするし、際コーポのキワモノ中華が餃子バーとともに話題をさらったこともある。都心ながら最寄り駅から取り残された分、道路も広くてクルマも止めやすいし、一時の三宿のような形で発展するのではないか、と予想したこともあった。ターミナルとなりつつある麻布十番と異なり、より隠れ家度が増す、といった具合である。

ところが今回歩いてみて、本当に悲惨な状況なことが分かった。もちろんこの通りで頑張っておられるイタリアン「ベルコラ」や犬のいるフレンチ「エパヌイ」。そして「賛否両論」からの独立組出店等、明るい話題もある。

ところが、どのビルどのビルもほとんどが入口に「FOR RENT」の看板。この界隈のマンションはFORRENTチェーンではないかと、ギャグにされてしまいそうな勢いだ。

昨今の経済不況が最大の要因であろう。でも一つ思うのは、駐車違反と飲酒運転の取り締まり強化、この2点が、結局この界隈から体力を奪っていくボディブローになったのではないか。

徒歩で動くからこそ、ここに徒歩で訪れるには、ここで徒歩にて暮らすには、少ししんどいエリアなんだ、ということを認識する。