真にいいもの

百貨店の物産展担当バイヤーと食の通販のバイヤーをお引き合わせした。
お二人とも、熱烈とか突撃とかの冠が付くぐらい、食べることや、おいしいものを作るヒトを愛する情熱家。

しかもお二人は、ビジネスライクとか利益追求といった企業戦士の常識にまったく当てはまらない、食を守り、安全・安心を追求し、ブランドイメージや流行に関係なく、自分の舌と聞き込みで間違いなくイイと判断した食品のみを催事会場や通販で紹介・販売している。

例えば「5日で腐る塩辛」。今の時代5日で腐る塩辛なんてほとんど市販されることはないそうだが、そこには防腐剤等の薬品が使われているゆえの長い賞味期限。であれば、5日で腐ってしまうぐらいフレッシュでまざりもののない食品を提供しよう、といった発想である。

彼らはすさまじい行動力で隠れた生産者を探し、アポをとり、催事場や通販での販売のお願いに回っている。そこには、生産者に対する敬意や愛情があふれ、またそれをまじめで正直な消費者にストレートに届けようと心がける。しかも、より安価に販売できなければ自分たちは失格とまで言う。つまりすべてはヒトに向いて日々仕事をしているのだ。

その日、食事が比較的早く終わり、二軒目に流れる雰囲気だったのに何となく自然解散。どこか立ち寄ろうかと思いつつも家に着いてしまう。しょうがなくお茶に切り替え、オリンピックでも見ようかとテレビをつけた。そして、チャンネルを回していたら、たまたま村上龍を久しぶりに見た。そうカンブリア宮殿である。

その日のゲストは、「青山フラワーマーケット」の社長。そしてその彼がテレビに向かって話す内容が、昼間の熱烈突撃バイヤーとあまりに違うことにガクゼンとした。

いろいろとキレイゴトは言っている。でも、彼にとっては、いかに店に人を止め、アルバイトを駒のように使い、安く仕入れた花をイメージとブランド戦略でうまく化粧をし、できるだけ高く売るか。に徹している。

仕入れに対し売値が高すぎる花の市場やロスの多さに目を付けたのはさすがといえよう。でも、花に対する愛情はなく単なる金儲けの道具として扱い、粗悪品でも粗悪品と見えないよう、グラスブーケとかキッチンブーケといった軽やかなネーミングで売り切る。つまり、今までの花市場の構造を逆手に取りロスを最小限に留めて巨額の利益を上げるわけだ。

確かにアイデアにあふれ、すごいビジネスモデルで成功した勝ち組。でも、ナマモノを扱う使命感や愛情、そして消費者を幸せにしようという気概は残念ながら感じられなかった。昼間の熱烈突撃バイヤーからは、その気概しか感じられなかったというのに・・・。

少なくとも自分や自分たちは、ブランドにとらわれない真にいいものそして愛情を持って届けられたものを見分ける知識や、手に入れるネットワークを得るためにお金を使いたいと思うなあ。