「どこの店がいいですか?」

昨日も食事中の話題となったが、それは「どこの店がいいですか?」とよく聞かれますよねえ、ということ。特に初対面で自分は相手のことを知らないが相手は自分の書いたものを読んでいただいてるような場合は、確実にほぼ100%質問される。

もちろん、地域や予算、レストランのジャンル、行く相手などを詳しく教えていただければ何軒でもお応えできるけど、漠然とどこがいいですかと聞かれても、沢山ありすぎてピックアップしようがない。

またぼくの信条として、レストランで食事中に別のレストランの話をしない(特に同じジャンル)というのがあるので、余計に答えるのが苦痛である。

昨日の話で、ごくごく誰もが納得する有名店を挙げるようににしているとの意見もあったが、その時「なーんだ」みたいな顔をされることも多く、だったら聞くなよと結局不快になるようだ。

ぼくの場合も、上記の方と同じような答えを持っていて、その店は「レストランひらまつ」。
これは半分本当であり半分ウソである。そして半分オフェンスであり半分ディフェンスである。

確かに「ひらまつ」には20年以上通っていて紆余曲折も存じ上げているし、どこから突っ込まれても、ま、困ることはない。かといって総合的に自分の中でのナンバーワンかというと、それもまた揺れ動く。また、ぼくにその質問を浴びせてくる多くのグルメコレクター系で「ひらまつ」を知らないヒトはいない、がしかし、毎日新しくできる店を追っかけている面々にとって、ひらまつ系から独立した「ラール・エ・ラ・マニエール」には行っても、きちんと「ひらまつ」で食事をした機会のあるヒトは少ない。

つまり、なーんだと失望され、彼らにとって目新しい情報とはならなくても、かといってそれに反論する持ち駒もない、というわけだ。

ところで。
先日「カンテサンス」のシェフ、シェフソムリエを交えて食事をした話を書いた。その席でも、いつもの質問が出るかなあ・・・と若干答えを用意しつつ望んだ。

ただ、案の定その質問が来たときに、ぼくは「ひらまつ」かな、とわりといつもどおりに答えてしまった。
(東では、との聞き方をされたのでそう言った。西はとの質問には、同郷のシェフソムリエと大いに盛り上がったが、その話は別の機会で)

するとそれに反応した岸田シェフの答えが、あまりにも素直で嬉しい言葉で、実は目頭が熱くなったわけだが、それはここだけの話にしておこう。

「ひらまつのようなレストランがあり、また、そこを愛してやまない方がおられるからこそ、今の自分があるんだと思います。そういった方をぼくは尊敬します」。