散文の記事 (2/3)

野田首相のスローガン

大阪より友が来て、そのまま日帰りするが飲むか、という話になった。仕事場は、ぼくの庭でもある東京ビッグサイトという。ゆえ、ビッグサイトかつ新幹線最寄の新橋がよかろうと、新橋の鳥料理の店に陣取った。ま、この店については別の機会の改めるとして、カウンター9席のこぢんまりとした店内ながら、そのサイズに忠実な料理を出すところがとても心地よい止まり木だった。

ところで、メニューがアトランダムに貼ってある、決して美しいとは言い難い壁にふと目を向けると、なんと、衆議院議員 野田佳彦なるサイン色紙を見つけて見えギョッとした。お大臣や総理になってからのものではないとは思うが(であれば、マスコミにもっと騒がれているはず)、そんな国会議員も来る店なのか・・・と、感慨深げに眺めていたら、サイン色紙ゆえお題目のスローガンがあり、そこには「ニッポンまる洗い」と書かれていた。

その時はそれほど関心もなく、というか、大阪からの客人とプライベートな話題で盛り上がったが、なんとなくその言葉が気になってグーグ?ル先生に登場願うことにした。

「ニッポン丸洗い」と入力して検索すると、「野田よしひこ」のオフィシャルサイトへスッと飛んで(したがって、彼のオリジナルスローガンのようだ)、そこにキチンと「ニッ?ポンまる洗い構想」とあり、野田首相が2000年の選挙の時に掲げたコンセプトということが分かった。しかも、あろうことか、「ニッポンまる洗い構想」というタイトルのすぐ上には、「国の仕組みを根本から変える」と、デカデカと書いてあるではないか。

12年後の今、「国の仕組みを根本から変える」という全く同じスローガンが大阪から何度も聞こえてくる。野田氏が当時訴えた詳しい内容まではチェックしていないが、この構想がすでに12年前の現総理によってワード化されていた、というのはかなり興味深い。というか、12年経つとこうもヒトは変わるのか、という例えでもあるね。

さて橋下市長の12年後はどうなっているでしょうか。
それにしても、ウェブはいつも昔に戻れるが、それを「昔のことだからね」と笑えない立場の人はつらいねえ。

ラーメンがゆがんでいる。

先日夜、出かける前に時計代わりにつけていたテレビで、「60歳、どん底ラーメン店主の店を建て直す」みたいなタイトルの番組をやっていた。今回だけではないと思うけど、松岡修造をメインMCに配し、ガンバレ、ガンバレ系の熱血バラエティである。

ま、ある程度のやらせや誇張は、こういった「お涙チョーダイ」系にはつきもので、そのヘンも含めて素直に受け止めればいいんだけど、それにしてもラーメンに対する向き方がゆがんでる。

まず、60歳のどん底店主が、新たに自分の店で「豚骨魚介」を出したい、という。全く他流試合などやってこなかった風の60歳店主にとって、だいたい「豚骨魚介」って何? みたいに、本来はチンプンカンプンだと思うんだけど・・・。

で、ラーメン評論家?の石神氏が登場。30軒の「豚骨魚介」の名店をメモした紙を渡し、まずはウマイと言われる名店を食べ歩いて研鑽を積みなさい、と指導する。本来なら食べ歩いた後「ああ、豚骨魚介をうちでも出したい」となるのが筋(笑。ま、それはいいとして、店主は1週間店を閉め、推薦の店を食べ歩きながら新しいスープを作り、リニューアルするというのだった。

まず、他店を食べ歩いて研究することなど過去になかったであろう60歳店主にとって、石神氏の店名のメモだけを見てどうやって店の場所を知るのかと、ぼくの頭は「?」。にもかかわらず、カメラは、それらの店にどんどんと入っては食べ(店主に質問しメモを取り)を繰り返す60歳店主を映し、3日でメモのうちの25軒を食べたとする。

ヘン すぎない?
どの店も超人気店、おそらくは大行列のはずだろう。でも店の戸を開ける場面ではいずれの店も列がない。営業時間内に行っているとは思えない展開。

その後もおかしなシーンは連発するが詳細は省略。で、何度か新しいスープが完成するたび石神氏が登場して試食(石神氏も案外ヒマのようだ)。石神氏は、これでは普通にウマイだけなので、この店ならではの特徴が欲しいとアドバイス。するとその後、60歳店主は干し貝柱を入れるとのアイデアを披露。

えっ。そりゃ中国料理のスープに干し貝柱を使うのは確実においしいし常套手段だけど、かつ、むちゃくちゃ上等でもあるのだ。このラーメン、いったい幾らで売るつもりなんだろうか。

1週間後のリニューアル前夜にやっと石神氏からウマイとお墨付きをもらう。で、翌日になると、看板や暖簾は架け替えられ、油ギトギトだった厨房や店内はピッカピカになり、メニュー表示も全て新しい。あれっ、いつの間にこんなに変わってしまったの? テレビはその言い訳をするかのごとく、リニューアルするのに幾らぐらいかかり、それは当初の60歳店主の予算範囲内に納まったと、仰々しく数字のテロップを出す。

ここまで視聴者をバカにした、ラーメンに真剣に向き合っている人を欺く展開もないかと思うんだけど、ぼくの視点がゆがんでるのかなあ。

迷走するマグロ

昨日のブログで「無修正動画」とは何か、などと聞いてくださった稀有な方々がおられたゆえ、補足します。

当然ながら、まだアンダーヘアーの存在すら知らなかった幼いぼくが、全裸で大人の男女が海辺を走ったりする無修正の映像を「オランダ館」で見たという話である。当時、大阪万博のいくつかの会場で「エッチな映像」が見られるというウワサは子供の中にも広くあり、中でも「オランダ館」はスゴイらしいというので、ドキドキしながら見に行ったんだけど、結局外国人のソレを見ても日本人の子供はただひたすらゲンナリするばかりだったのですね。

さて、迷走するマグロ。
先日ある鮨職人と話していて、マグロが騒々しいねえとの展開になった。彼曰く、「ま、当面伊藤さんには関係ないことですけどね」と言う。ぼくはトロを好んで食べないし赤身はヅケにしても負けないぐらい滋味タップリの近海物を選びたい。となると太平洋産に限られ、その海域は今のところ絶滅の危惧といった問題は起きていないようである。

日本、特に東京では、鮨といえばマグロ。これは座って30分3万円の高級鮨から一皿99円まで同様。かたや大間産といった名産地一本釣りに目がないブランド志向。いっぽう、いかに安く大量にマグロを仕入れて店の目玉にするか競う回転系の面々。大西洋での乱獲は、この異様なまでのマグロ神話を逆手に取った格安回転系による暴走にも原因があるような気がする。

大西洋でのマグロ乱獲に関しフランス人がインタビューに答え「これを機に、日本人もマグロ以外のお魚を食べたらいいのに」と言っていた。その通りだ。肉というか家畜なんて大別すれば、牛・豚・鳥しかない。でもお魚は、湯飲みの回りを魚名を表す漢字で埋め尽くすことができるぐらいに種類があるのだ。

また、マグロマグロって、結局一番好まれる理由は、単純に食べやすい(臭みがない・小骨がない)からではないだろうか。そして冷凍で何年も保管でき、サクにさえしてしまえば調理しやすいこともあろう。それって究極には肉と同じなんだよね。

ただ、ぼくは、マグロのトロの色はとても美しいと思う。こんな風に美しく優しく輝く食材をめでる時間は貴重だし、やはり世界に誇れる食文化ではあるんだけど。

インターネットとデジタルカメラ

昨今のニュースショーは、JRのダイヤ改正に伴う動きに乗じた鉄道ファンの生態みたいな特集を頻繁に流している。3月12日に大幅な改正があり廃止になる路線も多いそうで、それを悲しむ鉄道ファンが殺到しているとのこと。

ところで、ぼくの友人の熱狂的な鉄チャンによると、鉄道ファンには「乗り鉄」と「撮り鉄」の二種類があるらしく、友人はもっぱら「乗り鉄」なんだけど(例えば彼と新潟でその日の夜に食事の約束をすると、ぼくというか普通の人は夕方に東京から新幹線で新潟まで行くけど、彼は朝からいろいろと在来線を乗り継いで何回も乗り換え、まる1日かけて新潟まで行く、といった具合)、その日の特集では「撮り鉄」を取り上げていた。

廃線を迎えた鉄道や車両の路線駅にて待ち構え、列車が入ってくるところを撮影する集団だ。

もちろん「撮り鉄」たちの顔とかはテレビに映されないが、見ていて彼らの行動は凶器の沙汰だった。目的の列車が到着するたび、安全な運行のために仕事をしている駅員に対し、「どけー」「じゃまだー」「写真にかぶるぞ! しゃがんで仕事しろー」とかの怒号を浴びせているのだ。

果たして彼らは本当に鉄道「ファン」、つまり鉄道を愛している人たちなのかなあ。
色温度や絞りの調整がマストである熟練したプロの領域だったポジフィルムから、デジタルカメラなる、すべての人をとりあえず上手に写真がとれた気にさせる魔法の機械の登場。そして、パソコン上で簡単にできる写真加工という自己完結(オタク)には最適なツール。それを駆使したいがための、単なる被写体として選ばれたものが列車だっただけ、ではないだろうか。

また、鉄子と呼ばれる女性の鉄道ファンについても別番組で報じていた。女性一人ではなかなか鉄道が趣味と言いにくいが、インターネット上で鉄道好きをカミングアウトして(実際にインタビューされた人がそう言っていた。妙に違和感があったなあ)仲間を募り、みんなで写真を撮りに行ったりするそうだ。女性で鉄道好きというのが特異かどうかは別議論だが、たとえそうだとしても。、つるまないと行動できないものか。

また、インターネットという早くて便利ながら、砂の上に建ったような脆くあやういコミュニケーションについても、こんなところでも増殖してるだなあと感心しきり。


そして、それってまさに、ぼくが深くかかわっているグルメについても全く同じ現象なんだよね。

食事が運ばれてくるやいなや、回りへの配慮やマナーをわきまえることなくパチパチと撮影ばかりに執心(料理写真を全面否定するものではありません。誤解なさらず)。いっこうに食べ始めない人たち。インターネットで参加メンバーを募り、その店に行く目的のためだけに集まる仲間。

デジタルカメラの普及、インターネットの発達が、ヒトの余暇やコミュニケーションに深く関係してきた「趣味」を大きく変え、というか歪めつつある、とすると言い過ぎだろうか。

乗ることの楽しさ、食べることの悦び。それを純粋に分かち合える友。テクノロジーに頼ることなくもっと人間らしくありたい。





オールアバウト裁判顛末記

最新のブログシステムをお借りして日記を書いていると、当然ながらアクセス解析ができて、やっぱりそれはとても気になる。

さとなおショック(笑)以来、うまい店対談ほどはいかないまでも、そこそこのアクセスをいただくようになり。アクセス解析を見るのも張り合いがある。

で、オヤッと思うのは、ぼくのブログに訪れていただいた4分の1近くの方が、プロフィールのところでリンクしてある「裁判顛末記」をクリックされていることだ。

この裁判顛末記とは、ぼくが以前AllAboutでガイドをしていたとき、そこで書いた記事の著作権が誰に帰属するかを争点として、ぼくとAllAboutとが争った裁判。当初は、ぼくがAllAbout時代に書いた原稿を自分のホームページにまとめてアップしたら、それがAllAboutに対し著しい損害を与えたとして1000万円の損害賠償を請求されたのが発端。

ぼくの弁護士さんがすばやく動いて、単純な民事訴訟ではなく著作権を専門とする法廷で争うこととなったが最終的には和解。判決が出れば、インターネット上での著作権を取り扱った最初の判例として、勝っても負けても画期的なものとなったようだが、ぼくは和解を選んだ。

当初はほとんど認知されず、自分自身も認知されることより風化しないために書き残しておこうとの意識が強かった。が、ツイッターで紹介していただいたり有名ブロガーさんがリンクを貼ってくださったりして、現役のAllAboutガイドさんや裁判当事者も知ることとなった。

ただ冒頭でも書いたように、当ブログに訪れる4分の1の方が、改めてというか新規でご興味を持っていただいているようで、とても嬉しい。

和解条件の中に多くの守秘義務があり、顛末記といってもその半分ぐらいしか表現はできていないのですが、まだの方は、是非プロフィール欄のリンクよりご一読ください。